スキンケアの基本

メイクやスキンケアのメリットとデメリット

女性は20歳前後になると自然とメイクを学び、クレンジングで落し、さらに洗顔して化粧水で水分を補い、美容液で栄養を与え、クリームで保護する、という一連の流れが毎日の習慣として生活に組み込まれていきます。女性ににとって当たり前のメイク+スキンケアという習慣が数十年と続いたとき果たして肌にとってよかったといえるでしょうか?20代までは若さカバーできても40代にもなればしみ・くすみ・しわなど目に見える老化現を認識し「何かが違う…」と疑問に思われる方も多いことでしょう。化粧品には界面活性剤や防腐剤など、肌に刺激となる化学物質がたくさん入っていますが、残念ながらいくつもの化粧品を長期にわたって使い続けることに対する安全性については、十分といえる検証が行われたことは今までありません。実は、きれいになるためにと長年にわたって続けてきたスキンケアが、かえって肌のトラブルの原因となってしまうことがあるのです。

肌断食で本当に必要なものを見極めよう

肌に何らかのトラブルが起こったら、いったんメイクやスキンケアを中止し肌断食としてぬるま湯洗顔だけで様子をみてみるとよいでしょう。ただし、発疹や腫れるなど、接触皮膚炎のような、どちらかというと病気の部類に入るものは皮膚科医に相談しましょう。

肌の構造を知っておけば自分の肌が理解できる

「美肌に必要な成分のコラーゲンやセラミドが…」と聞いても、これらの成分がどのように肌へ浸透し作用するのか…。そういった成分の役割や肌のメカニズムまで理解してスキンケアをしている方は、あまり多くありません。実は、皮膚の構造を知るだけでも、自分の肌の状態がより把握できるようになります。今使っている化粧品がどのように作用しているのかがわかるのです。また自分に合う化粧品や合わない成分、より詳しい肌質などもわかってくるようになるので、肌の構造については頭に入れておくのがおすすめです。一般に皮膚と呼ばれている部分は「表皮」「真皮」の2層構造になっています。その厚みはわずか0.4~1.5mm程度。「肌をこすってはいけない」とよくいいますが、それはこの薄さゆえ。肌は桃の皮のように薄いので、やさしく丁寧に扱わなければならないのです。

皮膚の役割

この皮膚の中でもわずか0.3mm程度の「表皮」は一番内側から「基底層(きていそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「顆粒層(かりゅうそう)」と徐々に変化し、最後は皮膚の一番外側にある角質層(かくしつそう)となり、一定の期間留めったあとにはがれ落ちていきます。皮膚は生まれてはがれ落ちるまで約1か月のサイクルで再生されていて、これを「ターンオーバー」と呼びます肌の一番外側を覆う厚さ0.02~0.03mmの角質層は、角質細胞ブロック状に重なり、その間にはセラミドを主成分とする細胞間脂質が角質細胞同士をセメントのように接着しています。このセラミドが角質細胞を十分につなぎ合わせることで、肌に水分をキープ。水分が保たれた肌にはバリア機能が働きます。美肌を保つためには皮膚の新陳代謝であるターンオーバーが正常に繰り返されていること、そして水分保持の役割を果たすセラミドが十分保たれ、肌のバリア機能がはたらいてることが重要になります。
また皮脂腺より分泌される皮脂と汗が混ざり合い(乳化といいます)肌を包む皮脂膜となり、肌の保湿と保護をする天然クリームの役割を果たします。化粧品のクリームはこの皮脂膜を基準につくられています。健康な肌の皮脂膜はPH4.5~6.0の弱酸性に保たれ、酸に弱い細菌やカビなどの繁殖を抑制しています。

真皮の役割

そして「表皮」をしたから支えてる「真皮」。網目状にはりめぐらされたコラーゲン線維(俗にいうコラーゲン)とそれをつなぎ合わせる弾力性のあるエラスチンが、皮膚の弾力を保つために真皮内でクッションの役割を果たし、サポートしています。そしてこれらの隙間には水分が十分に含まれたゼリー状のヒアルロン酸などが含まれ、肌の内側の水分を保つ役割を果たすだけでなく肌全体にうるおいと柔軟性をもたらしています。真皮の中には線維芽細胞と呼ばれる美肌作りに一番大きくかかわる細胞が点々と含まれコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を作りまた古くなったコラーゲンやエラスンの分解処理も行います。しかし老化や紫外線の影響で線維芽細胞は弱り真皮の構成要素の生産がスムーズにいかなくなります。真皮全体のコラーゲンやエラスチンの生産量が減ることで、表皮を支える力が弱くなり肌全体の弾力やハリが失われ、ほうれい線のような深いしわや、目の下や顔全体のたるみなどを引き起こすのです。

丈夫な皮層をつくるために最も重要なケア

日常で心がけてほしい重要なケアは、やはり保湿とUVケア。化粧水の後には乳液やクリームを塗って、水分がにげないようにフタをしてあげましょう。UVケアはしみ対策だけでなく、紫外線が活性酸素を作り、肌そのものを老化させコラーゲンやエラスチンの生産量を減らしてしまうということを頭に入れ、通年行いましょう

スムーズに肌が生まれ変わらないと美肌は生まれない

肌の新陳代謝、肌の生まれ変わりをターンオーバーといいます。皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」から成り、さらに表皮は一番内側から「基底層(きていそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」「顆粒層(かりゅうそう)」「角質層(かくしつそう)」と4層構造になっています。基底層で生まれた細胞は形を変えながら表面に押し上げられていき、無核となり死んだ状態で角質細胞となりますが、この細胞は新しい細胞に押し上げられるようにして表面まで上がり、最後はアカとなって自然にはがれ落ちる構造となっています。このサイクルがターンオーバーです。このように表皮は絶えず入れ替わっているため、表皮に傷がついてもかさぶたとなってはがれ落ち、きれいな肌に生まれ変わるのです。

部分によって違うターンオーバーの速度

ターンオーバーの速度は体の部分によって異なります。文献によって異なりますが、およそ28~56日程度と考えておくと よいかもしれません。基底層から顆粒層まで14~42日。角質細胞となってはがれ落ちるまで14日(顔の頬部で10・2±1・8日前腕部で20・2日±2・3日という報告もあります)。個人差はありますが28~56日かけて行われます。しかし他の部位、例えば手や足などの末梢は血行の関係もあり比較的遅いパーツです。

年齢によりターンオーバーの周期がかわる

ターンオーバーの周期には個人差があります。一般的には加齢とともに新陳代謝が低下し30~40代になると45日程度はかかるといわれています。年齢とともにちょっとした傷も治りにくなっていくのはそのためです。クリニックでのレーザー治療を例にとっても、レーザー治療後、皮膚がかさぶたになりはがれ落ちるまでに通常1週間程度ですが、50代くらいから遅くなる傾向があり2週間程度、さらに遅い方では3週間以上かかることもあります。
肌がくすむ、しみが増えた・濃くなったなどの症状が現れたらターンオーバーの機能が低下しているサインだと見逃さないようにしましょう。

正常に保つコツ

ターンオーバーは遅すぎても早すぎても肌トラブルの原因となります。正常に保つためにも睡眠時間や規則正しい生活、バランスのとれた食生活、ストレスをためないなど、基本的な日常の生活習慣をもう一度見直してみましょう。ターンオーバーが遅い場合は角質がたまりくすんだり、薄皮を重ねたようなゴワつきが出てきます。またあとも治りにくくなります。スキンケアとしてはピーリングを定期的に行うことが効果的です。ただしホームケアではやりすぎてしまうなどのトラブルも考えられるため、美容クリニックを利用していただくことがオススメです。逆に顔を洗いすぎたり、角質ケアばかりしているとターンオーバーが早まってしまいます。ターンオーバーが早く乱れた肌は、核を持ったまま(不全角化)表面に押し上げられた状態となり、未熟な細胞のまま表面に上がりゴワゴワしている状態ですので、水分を保持することが難しく乾燥したりします。ワセリンやクリームで表面をなめらかにし丁寧に保湿と保護をして洗いすぎないようにすると正常化につながります。

真皮の線維芽細胞は細胞分裂が乏しい

ターンオーバーのおかげで表皮は生まれ変わっていきますが、その奥にある真皮線維芽細胞は残念ながら細胞分裂が乏しいのです。加齢によりコラーゲンは減り、肌のハリは失われていきます。紫外線を浴び続けると、肌の弾力が低下しますので、UVケアは大切です。日頃から日傘や帽子、日焼け止め上手に活用しましょう。また、真皮まで深い傷ができてしまうと、元通りの修復は難しく、傷あとが残りやすくなります。日常生活ではなるべく傷を作らいないように心がけ、もし傷を作ってしまったら早めの手当てをすることが重要です。そして表皮のターンオーバーをできるだけ正常に保ち、健康で丈夫な表皮を作っておくことが傷や紫外線を最小限にガードすることにも役立つのです。

メラニンとしみって何?

メラニンは悪者じゃない?自分のケアで予防できるメラニンはしみのもとになるというイメージが強いため、肌にとって悪いものと考えられがちですが、実は肌を紫外線から守る大切な働きをするものなのです。

メラニン(メラニン色素)とは?

メラニンは人間だけでなく、他の動物、食物、また一部の菌類などに形成される色素で、黒色メラニン(ユーメラニン)と肌色メラニン(フェオメラニン)の2種類があります。黒人・白人・黄色人種で肌の色や髪の色に違いあるのは、黒色メラニンと肌色メラニンの量が異なるためです。黒色メラニンの量が多いほど、肌や髪の色が黒く濃くなります。加齢によって黒髪が白髪になっていくのは、メラノサイトを生み出す幹細胞の衰えにより、毛根でメラニンが生成されなくなるためだと考えられています。

メラニンの働き

メラニンは、表皮の基底層にあるメラノサイトによって生成されます。メラノサイトは紫外線なのど刺激を受けるとメラニンを作り出すのですが、これはメラニン色素を含む表皮細胞でバリアーゾーンを形成し、肌細胞が紫外線の刺激を受けないようにするためです。こうすることで、紫外線によるDNAの破壊や皮膚癌の発生を、未然に防いで> いるのです。つまり、メラニン色素は肌トラブルや病気を防ぐためになくてはならない物質といえま。

メラニン色素としみの関係

では、「メラニン色素=しみ」と考えられている理由はなんでしょうか?それは、過剰に生成されたメラニンが色素沈着を起こし、しみとなるためです。通常、生成されたメラニン色素はターンオーバーにより排出されるため、色素沈着を起こすことはありません。しかし紫外線などの刺激を過剰にうけるとメラニン色素も過剰に生成されるため、排出しきれなかったものが残りしみとなってしまうのです。また、ターンオーバーの崩れもメラニンの排出を滞らせるため、やはりしみの原因となってしまいます。メラニンの働きを正常なものにするためには、肌に紫外線や摩擦などの刺激を与えないこと、ターンオーバーを乱さない生活習慣を保つことが大切なのです。

20代のスキンケア

肌が丈夫なので、素肌でも十分に美しい20代ですが、この時期に誤ったケアを続けたり、基礎的なスキンケアを怠ると後で大変なことになります。この年代に多いのは、香料や刺激の強いメイクアップ化粧品や過度なクレンジングによる肌への負担が招く肌トラブルです。クレンジングできちんとメイクが落とせていないことによる肌荒れ、あついは過度なクレンジングで皮膚を乾燥させ、傷つけるといったことが多いようです。洗顔やクレンジングでゴシゴシとこするような摩擦は絶対に避け、泡で丁寧に落とすことを身につけましょう。先のことを考えず、見た目のきれいさだけを重視した過度なメイクや誤ったクレンジングが後々の肌にダメージを与えます。肌が元気なうちに正しいスキンケアを学びましょう。

30代のスキンケア

少しずつ肌の衰えが表面に現れるようになってきます。生活リズムの変化にともないホルモンバランスも大きく変化する時期ですので、その影響が徐々に肌に現れはじめます。これまで気にならなかった紫外線や摩擦といった外的な刺激に対しても肌が弱くなり、あらゆる肌トラブルに敏感になります。ホルモンバランスをなるべく乱さないように、規則正しい生活とバランスのとれた栄養を摂取することは肌にのために最も重要です。腸内環境を整え、免疫力を高めることが 肌のバリア機能を高めることにつながります。保湿やUVケア、やさしく丁寧な洗顔といった基本的なことを大切にし、さらにビタミンCといった抗酸化力の高い食品を積極的に摂り、体の内側からも肌を守るように心がけましょう。

40代のスキンケア

保湿力が低下し、ターンオーバーの機能も乱れがちになります。月経不順や体調不良でホルモンのバランスも大きく乱れがちです。これらの影響で肌の衰えを感じやすく、特に線維芽細胞によるコラーゲンやヒアルロン酸の生産量は減り、表情筋も衰えハリ不足やたるみ、くるみなどが気になるようになります。表情筋のエクササイズを行ったり、栄養成分をサプリメントで補う、ホットタオルや指圧で血行をよくするなど、肌の様子を見ながら試してみてください。さらに美しく若々しい肌を保つためにも美容クリニックは積極的に利用するとよしでしょう。ピーリングやレーザー治療などを定期的に行ったり、目元や口元などの肌が薄い部分を特に重点的にケアすることで、見た目年齢を実年齢よりも若く保つことが可能です。また、この年代になるとケアしている人と、してない人の差が見た目にはっきりと現れるようになります。

50代のスキンケア

しわ、たるみ、くすみが本格的に気になってきますが、これまでのスキンケアの差も如実に現れます。更年期にともないホルモンバランスが乱れ肌の調子も不安定になり、肌質がこれまでとは大きく異なる方も少なくありません。イソフラボンを含む大豆製品をしっかりと摂り、更年期障害の方はサプリメントで補うとよいでしょう。また、40代のスキンケアでも述べましたが、表情筋のエクササイズを行ったり、ホットタオルや指圧で血行をよくすなどしてもよいと思います。スキンケアでは水分と油分をバランスよく補い、肌の新陳代謝機能やバリア機能を衰えさせないよう保湿をしっかりしたり、サプリメントを摂取するなどのサポートをすることが重要です。またちょっとした体の疲れや不調が肌に影響を与えやすくなっているので、十分な栄養と睡眠を確保しましょう。特に成長ホルモンは睡眠中に最も多く生成されます。成長ホルモンの分泌は年齢とともに減少しますが、年齢にかかわらず質のよい睡眠が活性酸素を除去し、肌の生まれ代わりを助けます。