「神の子」山本KID徳郁さんを襲った胃がん 40代の罹患率は低いが高齢者ほど高まる理由は?

41歳の若さで亡くなった、「神の子」の愛称でも親しまれた格闘家の山本KID徳郁さん。体つきこそ小柄ながら、並み居る大きな相手をなぎ倒す攻撃的なファイトスタイルが人気で、格闘技ファンだけでなく広く支持を集めた。そんな“カリスマ”を襲ったのは、がんだった。8月下旬に自身の公式インスタグラムでがん闘病について明かしていたが、一部報道によれば、山本KIDさんが患っていたのは胃がんで、がんが見つかったのは2年以上前という。

近年、胃がんの死亡率は顕著に減少している。国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によれば、1965年に胃がんで亡くなった人は男性で10万人あたり96人、女性で49人だったのが、2011年には男性27人、女性10人にまで減少している。山本KIDさんは41歳というあまりにも若すぎる死去だが、40代の罹患率は低く、一般に50代からかかる人が多くなる傾向がある。ここでは「ステージ別5年生存率」など統計で見る胃がんの特徴を解説する。

胃がんにかかる人の割合は50代ごろから増え始め、高齢になるほど高くなっていく。さらに今後も高齢化していくと考えられている。なぜなら、高齢者ほど胃がんの原因となるピロリ菌の感染率が高いためだ。ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べて、胃がんになるリスクが5倍になるともいわれている。衛生環境が整備されていなかった時代に幼児期を過ごした60代以上の人のピロリ菌の感染率は約60~70%と高いが、衛生環境が整備されるにつれて感染率は低下し、現在の10代の感染率は10%を切る。

胃がんは長年、日本人に最も多いがんだった。しかし近年は罹患率、死亡率ともに減少傾向にあり、特に死亡率の減少が顕著だ。この50年間で4分の1程度にまで減少している。その理由について国立がん研究センター中央病院副院長の片井均医師はこう話す。